今回はゴールデンクロスは有効かどうかについて統計的なデータから検証を行っていきます。ゴールデンクロスという言葉をあなたは聞いたことがあるでしょうか。ゴールデンクロスというのはテクニカル分析の一種で、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上向くことを意味します。このゴールデンクロスと対をなすのがデッドクロス。デッドクロスは短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下抜くことを表します。一般的にテクニカル分析において、ゴールデンクロスは絶好の買いのタイミング、逆にデッドクロスは絶好の売りのタイミングと言われています。果たして本当なのでしょうか。そこで今回はゴールデンクロスした銘柄を買い、デッドクロスしたタイミングで手仕舞いをした場合に、過去の検証ではどのように利益が得られていたか、それとも損失につながったのかについて検証を行ってみます。
目次検証条件の確認
まず、今回行った検証の条件を確認しましょう。検証期間は2000年から2020年末まで。買いの条件は5日移動平均線が25日移動平均線を上向いた銘柄を翌日成り行きで買う、つまりゴールデンクロスが発生した銘柄を翌日に成り行きで買います。売りの条件は5日移動平均線が25日移動平均線を下抜けた銘柄を翌日に成り行きで売る、これが手仕舞いの条件となります。今回は短期の移動平均を5日移動平均、長期の移動平均を25日移動平均として検証を行いました。仮に勝率が高く、1トレード当たりの平均損益がプラスならば、この移動平均線を使ったゴールデンクロスの投資手法は有効だと言えるでしょう。
検証結果の概要
次に検証結果を確認していきましょう。こちらがゴールデンクロス戦略の資産曲線の推移です。見ていただくと分かるように、資産曲線は右肩上がりになっています。この資産曲線を見ると、ゴールデンクロスが発生した銘柄を買い、デッドクロスになったタイミングで売るという戦略は一定の統計的な有効性があると考えられます。
勝率と損益の詳細
検証結果を数字で確認してみましょう。勝率は35.24%とかなり低いですが、合計損益がプラスになっており、平均損益率も+0.97%となっています。このように見ると、ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売るという戦略は統計的には有効ですが、勝率が低い、つまり外れの銘柄も多いという事実が分かります。
勝率が低くても利益が出る理由
勝率が35%と低いにもかかわらず合計損益がプラスとなっている理由としては、利益が出た時の平均利益率が12.4%とかなり大きく、逆に平均損失率が-5.2%ということで、勝率自体は低いですが、買った時の利益が大きいというのがこのゴールデンクロス戦略の一つの特徴と言えそうです。
勝率が低いことの影響
このように平均損益がプラスで、合計損益もプラスとなっていることから、このゴールデンクロスを使った投資戦略は統計的に有望な戦略だと言えます。ただし注意が必要です。なぜならば勝率が35.24%と低いために、トレードを続けていくと負ける感覚が強くなってきます。そういった時にもう一つ条件を加えておくと良いでしょう。
追加条件の提案
その条件とは、中長期のチャートが上昇トレンドの銘柄だけでトレードするということです。イメージをするために次のチャートをご覧ください。こちらがこのゴールデンクロス戦略の勝ちトレードの一例です。勝ちトレードの場合、株価が75日移動平均線や150日移動平均線といった長期の移動平均線を上回っている上の水準に位置している銘柄が多いです。つまり上昇トレンドを中長期で形成している銘柄については、このゴールデンクロス戦略が有効だと言えるでしょう。
負けトレードの特徴
逆に負けトレードの例としては、長期で下落トレンドにある銘柄のゴールデンクロスがあります。これは負けやすいです。つまり、だましの可能性があります。先ほど紹介したチャートはあくまでも一例ですが、データを見ていくと、長期で上昇トレンドにある銘柄のゴールデンクロスはトレードチャンスとなる可能性が高いです。逆に中長期で下落トレンドに入っている銘柄については、いくらゴールデンクロスだと言ってもトレードに向かない方が良いでしょう。
まとめと注意点
ぜひ今回のこのゴールデンクロス戦略について活用してみてください。この戦略は統計的には有望ですが、勝率が低いためメンタル管理が重要です。また、上昇トレンドにある銘柄を選択することで、より高い勝率を目指すことができます。今回の検証結果を参考にし、自分の投資戦略に取り入れてみてください。
関連する質問と回答
ゴールデンクロスとは何ですか?
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜く現象を指します。これは一般的に上昇トレンドの始まりを示唆し、買いのサインとされています。
デッドクロスとは何ですか?
デッドクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下抜く現象を指します。これは一般的に下降トレンドの始まりを示唆し、売りのサインとされています。
検証期間はどれくらいですか?
今回の検証期間は2000年から2020年末までの20年間です。この期間を通じて、ゴールデンクロス戦略の有効性を検証しました。
ゴールデンクロス戦略の勝率はどれくらいですか?
ゴールデンクロス戦略の勝率は35.24%と低いですが、利益が出た時の平均利益率が高いため、合計損益はプラスとなっています。
どのような条件を追加すれば効果的ですか?
中長期のチャートが上昇トレンドの銘柄だけでトレードする条件を追加すると効果的です。これにより、勝率を向上させ、トレードの成功率を高めることができます。