今回は「移動平均乖離率」を使った株式投資手法について深掘りして解説します。移動平均乖離率は、株価と移動平均線の乖離をパーセントで表すテクニカル指標で、個人投資家に非常に人気があります。この指標を使うと、株価の「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を判断しやすくなります。
目次移動平均乖離率の基礎知識
移動平均乖離率は、株価が移動平均線からどれだけ離れているかをパーセントで表します。例えば、株価が移動平均線の上にあればプラス乖離、下にあればマイナス乖離となります。この乖離率が大きければ大きいほど、株価が異常な位置にあると判断され、プラス乖離が大きいほど「買われ過ぎ」、マイナス乖離が大きいほど「売られ過ぎ」とされます。
移動平均乖離率の計算方法とその活用
移動平均乖離率の計算はやや複雑ですが、現代ではほとんどの投資プラットフォームが自動で計算してくれます。実際に計算式を覚える必要はありません。重要なのは、この指標をどのように活用するかです。例えば、株価が25日の移動平均線より大きく乖離している場合、その後の株価がどのように変動するかを注視します。実際にソニーのチャートで確認してみると、株価が大きく上に乖離した後に下落し、逆に下に乖離した後には反発していることが分かります。
移動平均乖離率の統計的な投資手法
移動平均乖離率を使った統計的に有効な投資手法を2つ紹介します。一つ目は「5日移動平均乖離率」を使った手法です。5日移動平均乖離率がマイナス10%以下になったら買い、0%まで回復したら売るというものです。2000年から2020年までのデータを使った検証では、勝率65.9%、平均損益3.7%という結果が得られました。二つ目は「25日移動平均乖離率」を使った手法です。25日移動平均乖離率がマイナス25%以下になったら買い、0%まで回復したら売るというものです。この手法の検証結果は、勝率72.4%、平均損益10.2%という高いパフォーマンスを示しました。
移動平均乖離率の注意点
移動平均乖離率を使った投資には注意点もあります。特に、乖離率が大きくマイナスの銘柄は倒産リスクが高いことがあります。過去21年間のデータでは、50%以上の損失が発生した確率が約2.5%、80%以上の損失が発生した確率が0.76%、90%以上の損失が発生した確率が0.44%となっています。これらの銘柄の多くは倒産したものです。このため、乖離率が大きくマイナスの銘柄を見つけた場合には、倒産リスクや上場廃止リスクがないかを確認することが重要です。
実際のトレードでの活用方法
移動平均乖離率を使った投資戦略を実際に活用するには、ヤフーファイナンスや証券会社のスクリーニング機能を利用すると便利です。ヤフーファイナンスでは、25日移動平均乖離率がマイナスの銘柄を毎日ランキング形式で掲載しており、これを活用すればすぐに対象銘柄を見つけることができます。また、証券会社のスクリーニング機能を使えば、細かい条件を設定して銘柄を探すことも可能です。
リスク管理の重要性
高勝率・高利益率の投資手法でも、リスク管理は非常に重要です。特に一銘柄に資金を集中させると、大きな損失を被る可能性があります。運用資産の一部に留めておくことや、分散投資を行うことでリスクを軽減できます。また、倒産リスクのある銘柄を避けるためにも、企業の財務状況や業績にも注意を払うことが大切です。
移動平均乖離率の長所と短所
移動平均乖離率の長所は、視覚的に買い時や売り時を判断しやすい点です。また、統計的に有効な投資手法であることが検証結果からも分かります。しかし、短所としては、トレードチャンスが少ないことや、倒産リスクのある銘柄を見極める必要があることが挙げられます。
関連する質問と回答
移動平均乖離率とは何ですか?
移動平均乖離率は、株価が移動平均線からどれだけ離れているかをパーセントで表すテクニカル指標です。プラス乖離は株価が移動平均線の上にある状態を、マイナス乖離は下にある状態を示します。
移動平均乖離率はどのように計算されますか?
移動平均乖離率は、(現在の株価 – 移動平均値) / 移動平均値 × 100 という計算式で求められます。ただし、多くの投資プラットフォームが自動で計算してくれるため、実際にこの式を使って計算する必要はありません。
どの移動平均乖離率の期間が最も有効ですか?
期間の選択は戦略によります。短期投資では5日移動平均乖離率、長期投資では25日移動平均乖離率が有効とされています。25日移動平均乖離率は特に高勝率・高利益率の手法として知られています。
移動平均乖離率を使った投資手法のリスクは何ですか?
主なリスクは、乖離率が大きくマイナスの銘柄には倒産リスクがあることです。また、一銘柄に資金を集中すると大きな損失を被る可能性があるため、分散投資やリスク管理が重要です。
移動平均乖離率を使った投資手法の成功率はどれくらいですか?
5日移動平均乖離率を使った手法の勝率は65.9%、25日移動平均乖離率を使った手法の勝率は72.4%です。これらの手法は統計的に有効であることが検証結果から分かります。