株初心者の方に向けた株式市場の法則について、今回は「ストップ高の翌日に株を買ったら儲かるのか」というテーマを取り上げます。株価が急騰してストップ高に張り付いた時、つい翌日飛びつきたくなることがあるかもしれません。果たして、そのようなトレード手法が利益をもたらすのか、統計的に調べてみました。
目次ストップ高銘柄の翌日買い戦略とは何か
ストップ高銘柄の翌日買い戦略とは、前日にストップ高を付けた銘柄を翌日の寄り付きで買うというものです。これは、ストップ高になるほどの強い材料が出た銘柄について、翌日もその勢いが続くのではないかという期待から成り立っています。しかし、感覚的には翌日でも十分間に合うと思われるこの戦略が、本当に利益を上げるのかどうかを統計的に検証しました。
検証の方法とデータ
検証には、1990年3月から2020年5月末までの株価データを使用しました。前日の終値がストップ高だった銘柄を翌日の寄り付きで買い、10%以上の含み益もしくは10%以上の含み損が発生した時点で手仕舞いするという単純なルールを設定しました。これにより、単純にストップ高銘柄を翌日に買った場合の成績を検証しました。
全銘柄の検証結果
全銘柄を対象にした結果、勝率は39%で、10回中4回は利益が出ましたが、全体の損益はマイナスでした。これは、ストップ高銘柄を翌日に買うと、寄り付きが天井になりやすいことを示しています。トレードを繰り返すほど損失が積み上がるという結果が出ました。
市場別の検証結果
各市場ごとに結果を検証しましたが、いずれも全体的に右肩下がりの結果となりました。
東証1部
東証1部の結果は、リーマンショック以降、株式市場全体が上昇傾向に入ることで一部持ち直しは見られるものの、基本的には右肩下がりです。勝率は約43%、平均損益はマイナスの0.46%でした。
東証2部・大証・名証
東証2部、大証、名証の結果も右肩下がりで、勝率は39.6%、平均損益はマイナス1.4%となりました。
ジャスダック・マザーズ
ジャスダックとマザーズも同様に右肩下がりで、勝率は33.3%、平均損益はマイナス1.63%でした。
2日連続ストップ高銘柄の検証
2日連続でストップ高になった銘柄を3日目に買うという戦略も検証しましたが、結果はさらに悪く、勝率は34%、平均損益はマイナス3%となりました。2日連続ストップ高銘柄を翌日に買うと、さらに損失が大きくなることが示されました。
直近1ヶ月の値動きが小さい場合の検証
値動きの小さい銘柄についても検証を行いました。25日間のボラティリティが5%以下という条件を付けると、場合によっては通用する局面も見られました。勝率は41%、平均損益はマイナス0.57%で、全体的にはマイナスですが、一部の期間で利益が出る可能性も示されました。
ストップ高銘柄の翌日買い戦略のまとめ
ストップ高銘柄を翌日に買う戦略は、統計的には有効でないことが確認されました。特に初心者にとっては、高値掴みになりやすく、損失が増えるリスクが高いです。中上級者の場合でも、直近1ヶ月の値動きが小さい銘柄に限るなど、特定の条件を設定することで利益を上げる可能性があるかもしれませんが、基本的には避けるべき戦略です。
関連する質問と回答
ストップ高銘柄を翌日に買うのは初心者にとって危険ですか?
はい、初心者にとって非常に危険です。高値掴みになりやすく、損失が増えるリスクが高いです。
ストップ高銘柄を買う場合、どのような条件を設定すればいいですか?
直近1ヶ月の値動きが小さい(25日間のボラティリティが5%以下)銘柄に限るなど、特定の条件を設定することでリスクを減らすことができます。
ストップ高銘柄を翌日に買う戦略は全ての市場で有効ではないのですか?
そうです。東証1部、2部、大証、名証、ジャスダック、マザーズいずれの市場でも、有効な戦略とは言えません。
2日連続ストップ高の銘柄を買う戦略はどうですか?
2日連続ストップ高の銘柄を買う戦略も効果はなく、むしろ損失がさらに大きくなるリスクがあります。
ストップ高銘柄を買う場合、どれくらいの勝率が期待できますか?
全体的な勝率は約39%であり、損益もマイナスになることが多いです。